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ここは、「扉頁音楽に思う事」章の「エッセイ」節第10頁です。



音楽に思う事 電子音
Electric Sound

今回は、少し不気味な問題提起になってしまいました。我が家では諸々の理由から、ファミコン等の電子ゲームを時間規制しています。理由の一つに、絶えず流れてくる電子音があります。これが電子音でなければ規制も緩和したのですが‥‥。

電子音は不自然な音色か
心地良い音とは何かについて、私達夫婦の見解を前節までに記述してきました。即ち、科学的証明はまだですが、生物が生まれ育つ自然な環境にある音が心地良いのではないかと思っております。
電子ゲームで用いられる電子音の波形を直接測定した事はありませんが、どこかで似た電子音が矩型波(右図上:人工的で硬い音感)であると言う報道記事を見た事はあります。きっと電子ゲームに用いられる電子音も、同様に矩型波に近いのではないでしょうか。私たちの体の中の臓器や細胞は、通常正弦波(右図下)に近い音を発しているそうなので、矩型波を発する事はないと言う事です。電子音を子供の頃から聞かれていないご年配の方は、きっとその音を心地良いとは感じられないでしょう。

正弦波形電子音でストレスが発生するか
人間は生命機能を侵されかけますと、それをストレスと感じて解消すべく抵抗します。しかし一方で慣れてしまうと、ストレスを感じても解消行動をしなくなります。抵抗力が備わる場合もありますが、本質的には鈍くなるのです。
不自然な音は、生体にとってはストレスを与えるはずです。電子音を子供の頃から継続的に聞かされ続けると、大多数の子供は慣れてしまうか、場合によっては体調を崩す等の異変が生じるのではないでしょうか? 慣れて大脳ではそれを不快と認識しなくなっても、実際には生理的にストレスを受けているのです。前回申し上げた通り音は無意識に感知されるので、実に運の悪い事にこのストレ

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図:上が矩形波、したが正弦波.

スは早期に発見する事が困難と言えます。

電子音はどこにあるか
無意識に聞いている電子音は、ではどこに存在しているのでしょうか。主人もも電子音源=シンセサイザーを傍らに作曲・演奏活動する身、巷に電子音源(敢えて楽器とは呼ばない事にします。)が氾濫しているのを目のあたりにしております。電子音源は楽器と比べ、誰でも音を出せて自動演奏も可能なので演奏訓練が不要ですし、音色を選択・創作し易く面白く、しかも安価です。正に、質より効率重視の現代日本社会に適した物体です。日本で創作される音または音楽のかなりが、電子音源で創作されていると聞きます。
例えば朝寝覚めに聞く目覚まし音は、昔はベルの打撃音でしたが、今では電子音が主流でしょう。電子レンジやオーブンの調理終了音も、(携帯)電話の呼出音も、玄関の呼出音も電子音の場合があります。駅では発車前に電子音が鳴り、学校の始業ベルも下手をすると電子音です。電子ゲームは勿論、電算機、テレビ、ラジオ、ビデオからも、教材からですら電子的機能を有するがゆえに電子音が発生します。電子音源を用いていない音楽を探す事すら容易ではありません。病院に逃げても、医療機器から電子音が聞こえたりします。我々の生活は誠に不自然な環境に囲まれている様です。

電子音を聞いて育つとどうなるか
不自然な電子音(自然に近い電子音もあるとは思っております)は、やはり健康的とは言えないでしょう。証拠はありませんが、本能的な確信がある処です。今や巷には、情報ばかりでなく音までが溢れ返り、その多くが電子音であるとしたら、これは恐ろしい事かもしれません。
自然の中で育つ事の良さとは何でしょうか。他の生物と共存する事で命と人生を考える機会を得、土や水等に触れて感性を高め、太陽の光を浴びる昼と夜との時間サイクルの中に自分のリズムを見い出し、生きている証を見付け出す事につながる‥‥‥のかも知れません。もし、太陽ではなく夜通し明るい灯の下で、土や水の代わりに平たく角のある鉄やコンクリートに触れ、他の生物と隔離され、他人とも電子メールやインターネットのみで関係する環境で育ったら、人はやはり健康的に一生を送れるのでしょうか。電子音はこの人工的環境の一部と言えるでしょう。大して要らない物や情報がそれ程の苦労もなくお金で得られる昨今、気軽に何でも手に入れるのは考えものです。聞かなくても良い音は、聞かずに済ませたいものです。
電子ゲームから子供を遠ざける為に、図書館から学習漫画を沢山借りて来ました。本当は本が最善なのにと思いつつ、電子ゲームよりはまだましかと。BGMはクラシック(CDよりレコードのテープ録音を最近は聴かせ始めています)。この作戦が正しいかどうかは、十年後のお楽しみ‥‥。


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